私は、いわさきちひろさんの描いた絵が大好きです。温かくやわらかなその絵に出会ったのは、高校生のとき。本屋さんでふと手に取った黒柳徹子さんの自伝小説『窓ぎわのトットちゃん』の表紙でした。そして、世界初の絵本美術館である練馬区の「ちひろ美術館」に行ったのは、大学生の頃。心から魅了されました。

 子どもができから、長野県の「安曇野ちひろ美術館」に行きました。母になってから見たいわさきちひろの絵に、独身の頃には気づくことのなかった深み、重みを感じたのを覚えています。

 先日、南アルプス市美術館で◟今夏開催されている「いわさきちひろの世界展」に行ってきました。ピエゾグラフによる出品。いわさきちひろの描く子どもたちの生涯。「窓ぎわのトットちゃん」の挿絵にまつわるエピソード・・・久しぶりに、いわさきちひろの世界観に触れ、とても温かい気持ちになりました。

 この写真は『お母さんに抱きつく子』。私の最も好きな水彩画です。この絵は、今から51年前に描かれました。幼児の愛らしい瞳と何にも勝る母の大きな愛情が橙色の濃淡の中に浮かび上がる。いわさきちひろが病気のためこの世を去った55歳という年齢に、私も近づいてきました。まだまだ未熟だなと反省するばかりの自分に、今回も多くの刺激をもらえたかけがえのないひと時となりました。